隆成は喜びの波濤が幾重にも押し寄せてくる気がした。
芳人が格好良いと言ってくれる事が嘘みたいで。
自分を嫌っていた芳人が心を開いて、更に好きを与えてくれる事が堪らなく嬉しくて。
拒否も警戒もなく腕に収まる彼は妖艶で愛らしく、十年培った気持ちが益々膨れそうになる。
「俺もあんたが全部好きだぜ? 綺麗な見た目も、この肌も、この小さな突起も」
「あっ、ん……、くすぐったいって……」
乳首を甘噛みされ、芳人は背を仰け反らせた。
そんな芳人の善い場所を、隆成はさらに愛撫する。
「あと、気が強い所や生真面目な所や葛城一筋な所も……でも、葛城の事ばかり考えんのは妬けるな。俺の事をもっと考えろって」
「何だそれは、ふふ……」
楽しそうに、芳人は微笑した。
花がふわりと開くように艶やかに瑞々しく……。
かつて一度も見た事のない甘い笑みに、隆成は気持ちが更に上がるのを感じずにいられない。
「そんな風にあんたが俺に笑ったの、初めてだな」
「そう、か?」
「ああ、葛城で客や店員に笑いかけてんのは見たが、俺にはいつも眉を吊り上げた怖い顔で」
「そうだったかも」
「それが腹立たしかったが……、あんたは笑うとすげえ可愛い。なあ、もっと笑えよ」
隆成は芳人の顔をまじまじと覗き込み、その仕草と視線が楽しいから、芳人は自然と笑顔になる。
「改まって言われると照れくさいな。でも、なるべく笑うように」
「ああ、笑えよ、俺のために。あんたは怒った顔もゾクゾクくるが、その顔、最高だぜ、何度でも惚れそうだ」
「どんな顔か分からないけど、そうだな、お前がそう言うなら……」
「芳人」
「ん」
名を呼ぶ声に驚けば、隆成は芳人の笑みのこぼれる顔を撫で、優しく目を細めた。
「あんたは俺のものだ」
「あ……」
独占欲が滲む言葉に、芳人は心が甘く溶かされる気がした。
強引で過激な所はあっても、それが自分に向けられた想いと今は分かるから。
そこまで想われる事が幸せだから……芳人は彼の硬い髪に手を絡めて、こくんと頷く。
「俺はお前のものだし、お前は俺のもの……だろ?」
そう言って彼の頭を撫でれば、隆成は嬉しそうに芳人に接吻し、「当然だ」と言って愛撫を再開する。
大きな掌で首筋を、乳首を、鳩尾を、わき腹を、ゆるやかに戯れるように……。
触れられるたびに、芳人は身体が体内から発熱する気がした。
官能の甘い焔が至る所に生まれて、それが下腹に集中するようだ。
すでに互いの性器は兆していた。
欲しい気持ちが高まって、見るまでもなく、爆発しそうになっているのは分かっている。
隆成は悪戯っぽい顔をして、芳人の勃起するそれを掌で撫で上げた。
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